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競争の激しい韓国の英語教育は?熱心な教育意欲と学校教育の目指す先

2023/06/29

アジア圏の中でも、英語教育に成功している国としてよく例に挙げられるのが韓国です。韓国は貿易による利益が多いため、国外とのコミュニケーションは必要不可欠なものだと日本以上に考えられてきました。そのため「英語力は個人的にも国家的にも将来の経済力に直結している」と考える親世代も多く、英語教育熱は日本よりもかなり高い傾向にあります。

今回はそんな韓国の英語教育の歴史や、授業内容などをご紹介します。

韓国ってどんな国?

韓国は東アジアにある国で、朝鮮半島の南半分に位置しています。公用語は朝鮮語でTOEICの平均スコアは2020年時点では683点とされています。これは「簡易的な業務を英語で行えるレベル」とされており、採用基準に据えている企業も多くあります。なお、日本の平均スコアは2020年時点では531点と、100点以上の差があります。

また韓国の教育制度は、初等学校が6年間、中学校が3年間、高等学校が3年間。義務教育期間は初等学校と中学校。大枠のシステムは日本とほぼ同じとなっています。

韓国の英語教育について

韓国で小学校の英語教育が導入されたのは1997年と日本よりも20年以上前のこと。小学校3年生から英語が教科として年次進行で反映されていきました。また、韓国は学歴が重要視される傾向にあるため、教育熱心な親世代が多いです。各家庭では幼少期から英語を学ばせているほか、小学校で義務教育が始まってからも英語力を伸ばすための勉強を習い事としてやっていることも少なくありません。

ここでは韓国の教育事情を年代別にまとめました。

幼少期の英語教育事情

各家庭の経済力に関わらず、「幼少期にできる限り英語に触れさせたい」と考える親世代は多いようで、ほとんどの家庭で何かしらの英語教育に取り組んでいるとされています。

このような中、多くの家庭で採用されているのがスマート英語教育です。スマート英語教育とはICTを活用した英語教育のこと。韓国では教育庁が英語学習アプリを無料で提供しているほか、英語の絵本などを見ることができるアプリ、オンライン英会話サービスなど、だれでも気軽に使うことができるツールやサービスが充実しています。

また富裕層になると、ネイティブスピーカーが先生を務める英語幼稚園を利用する人もいるようです。

言語取得は早ければ早いほどいいとされているため、韓国でもできるだけ早くから英語に触れさせて、理解させるということは重要視されているようです。

小学校以降の英語教育事情

小学校3年生からは英語の授業が始まります。教育内容は「聞く」「話す」「読む」「書く」に分類した4技能。韓国政府は各学年の段階を考慮した目標や内容などを分かりやすく提示しています。

韓国が英語教育で目指すのは「使える英語。実用的な英語の取得」。そのため単語を覚えるなどの暗記中心の教育や、文法などを詰め込むような教育ではありません。10以上の出版社が検定教科書をだしていますが、その中でもよく使われている英語の教科書の一つに天才教育出版の「Elementary School English」があります。この教科書は、教科書内でアニメキャラクターが設定されており、登場人物が実生活ではどのように英語を使っているのか全課程においてビデオクリップされています。

話すこと、聞くことを学習の中心に持ってくることで、より実践的な英語力を取得できるような環境が整えられました。

また学校だけでなく、半数以上が家庭でも英語の学習塾などに通っているとされています。

日本で参考にしたい韓国の教育制度

学歴競争が激しい韓国は教育にかなり熱心で、意欲的であるからこそ「どのように勉強するのがいいのか」「どんなツールがあればいいのか」といったことに関心が集まりやすい環境です。だからこそ充実した教育環境が生まれているのです。

日本でもICTを活用したスマート英語学習は注目され始めており、様々な企業がサービスやツールを続々とリリースしています。教育制度の改革でも、韓国の英語教育を参考モデルにしている部分があります。

私たちの考え、環境で取り入れられそうな韓国の英語教育のいい部分を真似しながら、子供の英語教育に落とし込んでいけば、英語力向上に役立つのかもしれません。

資料

辻伸幸
和歌山信愛大学教育学部紀要 第 2 巻 2021 韓国の小学校英語教育から日本が学ぶべき視点


ウェブマガジン「留学交流」2014年9月号Vol.42 韓国の教育事情と留学事情

文部科学省 韓国における小学校英語教育の現状と課題

 

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