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非英語圏なのに英語が話せる?94%がバイリンガルのオランダに学ぶ英語教育

2023/06/16

世界には英語ではない母国語を持ちながらも、英語力がとても高い国がいくつかあります。その中の一つがオランダ。世界50都市で語学学校を展開し、約50年の歴史を持つ世界最大級の英語教育組織「EF Education First」がオンラインで無料提供している英語テスト「EF SET」の結果をもとに割り出した2022年版「EF English Proficiency Index(英語能力指数)」をでは4年連続トップのスコアを記録しています。

今回はそんなオランダの英語教育事情をご紹介します。

オランダってどんな国?

オランダはヨーロッパの西側にある国で、ドイツやベルギーと隣接しています。公用語はオランダ語であるにも関わらず、国民の94%がバイリンガル、またはマルチリンガル。非英語圏の国では、世界一の英語力だといわれています。

またオランダでは憲法で「学校設立の自由」「教育方針の自由」「宗教や理念の自由」という考えからなる「教育の3つの自由」が保証されています。生徒が200人集まれば、どのような学校を作ってもいいとされており、各学校で様々な特徴があります。

また日本で言うと小学校、中学校に当たる年代である5歳から12歳までが初等教育として定められています。英語教育は遅くとも10歳(7年生)には開始しなければいけないと法律で定められていますが、多くの学校が独自でカリキュラムを組むことができるということもあり、小学校1年生から外国語教育を導入しているところが多いようです。

またオランダの義務教育は、5歳から18歳まで。その間の教育費は無料となっています。

オランダの英語教育について

オランダでは実際にどのように英語を取得しているのでしょうか? ここではオランダの英語教育について年代別にご紹介します。

4歳~9歳まで

義務教育開始は5歳からですが4歳の誕生日を迎えた翌日から入学するという人がほとんどです。

法律では英語教育の義務化が特に設定されているわけではありませんが、ほとんどの学校で1年生から第一外国語として英語を導入しているようです。カリキュラムは指定されておらず、各学校で決めているので様々な特徴がありますが、基本的には教科書は使用せず、カラフルでイラストがたくさん使われている教材を使ったり、音楽を流したりと「話す」「聞く」などコミュニケーションツールの一つとして勉強しているようです。

10歳~12歳まで

10歳からは英語の授業が必修となります。初等教育を終える12歳までに日常会話ができるとされるCEFRのA1-A2レベルを到達目標として使用。英語が必修化した後も文法などよりは、会話や聞き取りなどを中心に進められていきます。

授業となるので、教科書も導入されますがポップソングを題材にしているといった内容も見受けられ、カジュアルに英語を身につけているようです。

4歳~9歳まで

12歳以降は、中等教育に進みます。オランダの中等教育は言語、数学、歴史、芸術と科学の理論的な教育と職業訓練を兼ね備えた授業を4年間で行う「中等職業教育(VMBO)」、大学進学や、医師、弁護士などを目指して5年間通う「一般中等教育(HAVO)」、6年間を大学教育の準備期間として勉強する「大学準備教育(VWO)」に分かれています。

初等教育の最終年度には、国立評価教育研究所(CITO)が行う「全国共通試験」が実施。HAVOやVWOへの進学はこのテストの成績などによって決まります。
なお、VWOでは英語のほかに、ドイツ語、フランス語の勉強もほぼ必修とされています。

オランダの英語の先生は高い英語力を持っている!?

上記で紹介した英語教育の充実さは、各学校のカリキュラムが素晴らしいだけではありません。オランダの教師たちの英語力の高さも、英語教育の成果を出している大きな要因となっています。

英語を含む初等教育の教員になるためは、教員教育コースへ進学して資格を取得する必要があります。このコースに入学するためには、大学などをはじめとしたアカデミックな場や、ビジネスシーンでネイティブと自然と話すことができるCEFRのB2レベルが必要。実際、オランダの学校視察団が2013年に行った調査によると「6,807 校の全小学校のうち97 パーセントが基礎的な質的基準に達しており、100,200人の全教員のうち83パーセントがすべての基礎的スキルに熟達している」と報告されています。

英語力を取得するうえで、先生のほとんどが英語を流暢に話せるということとなります。

また、近年は英語教員の「博士号取得」もオランダが推奨しており、さらにレベルの高い教育を目指しているようです。

最後に
オランダはこれまで紹介したように、教育はかなり自由な国。しかし、最低限の到達目標をきちんと国で定め、教員が高いレベルで教育していることがうかがえます。小さいころから楽しく、無理なく高いレベルの英語と触れることで、子供たちは自然と英語を取得できるのかもしれません。

参考

【EU MAG 駐日EU代表部公式ウェブマガジン】EUでは何語が話されているのですか?
【外務省】世界の学校を見てみよう!オランダ王国
【国際交流基金】オランダ2018年度日本語教育機関調査結果
【BRITISH COUNCIL】公立小学校における英語教育の成功要因
【山口大学教育学部 猫田和明】オランダの4段階モデルを活用した小学校外国語活動

 

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